 
「その昔この広い北海道は、私たちの先祖の自由な天地でありました」(知里幸恵『アイヌ神謡集』)。
蝦夷地が北海道とよばれて130年になります。先住民族アイヌにとっては、「旧土人」とさげすまれ、差別と収奪、迫害の歴史でした。また、未開の原野にいどんだ先人たちの開拓の歴史は、ドラマのように美しいものではありませんでした。十五年戦争の時代、強制連行された朝鮮人・中国人労働者にとっては「生キテ再ビ帰レヌ地」、それが北海道の実像でした。
戦後の北海道は大きく変わりました。戦中・戦後の混乱期をくぐりぬけ、新しい時代の生き方をとりもどした北海道に、無計画な開発政策がもちこまれました。その政策は美しい北海道を傷つけ、その傷口を農漁村、原野にまで広げています。この無謀な計画に、「豊かな自然を守ろう」という住民の声が高まり、いま道内各地で草の根の運動が広がっています。
また、地域の活性化に若者もたち上がっています。中・高校生たちがはじめた雪像づくりは、50年後のいま、200万人の観光客を迎える「雪まつり」に発展し、「流氷祭り」や「氷雪祭り」も各地に広がっています。北大の学生がはじめた札幌の「YOSAKOIソーラン祭り」も全国的な広がりをみせています。しかし、次第に商業化し、変質していく祭りに、若者たちは「これでいいのだろうか」と考えはじめ、平和を乱す最近の動きにも敏感に反応しています。
本書を通して、北の大地・北海道について考えてみましょう。

第1章■北海道の自然と歴史・文学
1. |
北の大地・北海道の自然 |
2. |
北海道の歴史
(1)原始・古代から中世---先土器時代から縄文時代へ/続縄文時代から擦文時代へ/オホーツク文化/先住民アイヌと和人
(2)近世---松前藩の蝦夷地支配と場所請負制/ロシアの南下と幕府の直轄
(3)近代---明治政府の北海道開拓/アイヌの土地取り上げと「北海道旧土人保護法」 |
・コラム「アイヌの抵抗」
3. |
北海道の文学 |
4. |
北海道はおいしい |
第2章■北海道を歩こう
1. |
道都・札幌を歩こう---「赤れんが」/北海道大学北方生物圏フィールド科学センター植物園・博物館など/大通公園とテレビ塔/時計台/札幌市資料館/中島公園/遠友夜学校/北海道大学/羊ヶ丘展望台/野幌森林公園/山頂からの眺めとスキー場/札幌周辺地図 |
2. |
白老・二風谷でアイヌについて学ぼう---アイヌ民族博物館/萱野茂二風谷アイヌ資料館 |
3. |
運河の街・小樽を歩こう---小樽運河沿い/「北のウォール街」周辺/小林多喜二文学碑/小樽市鰊御殿/小樽周辺地図 |
4. |
欧米文化の玄関口・函館を歩こう---五稜郭と野外劇場/函館山と元町/北方民族資料館と高田屋嘉兵衛資料館/啄木の歌碑と立待岬/函館周辺地図 |
第3章■もっと知ろう北海道
1. |
先住民族・アイヌについて学ぼう---先住民族としてのアイヌ/アイヌの神々と信仰/アイヌ語のもつ意味/アイヌのことば/北海道の地名/アイヌの文学・うた・おどり・楽器/「アイヌ文化振興法」とその問題点 |
・コラム「知里幸恵と『アイヌ神謡集』
・コラム「先住民族の権利---国際法の発展をふまえて」
・コラム「ウィルタ・ゲンダーヌのこと」
2. |
北海道開拓と自由・民主主義を求めた民衆の歴史
(1)北海道開拓をすすめた民衆の力---屯田兵と一般移民/囚人労働/タコ部屋労働/開拓の起爆剤となったニシン漁と漁業/農民の熱意とたたかいでつくった「日本の食糧基地」/朝鮮人・中国人の強制労働 |
・コラム「小林多喜二と『蟹工船』」
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(2)民衆の生活向上、自由と民主主義を求める運動---北海道と自由民権運動/全国をはげました炭坑や評議会の労働者/小作制大農場・有島農場解放・農民組合/真実の教育をすすめた人びと/小樽高等商業学校の軍事教練反対運動 |
・コラム「歴史に学び、東アジアの未来を見つめる」
3. |
北海道の「戦争と平和」---基地問題と北方領土問題
(1)北海道の戦争と基地問題---太平洋戦争と北海道/米海軍の北海道空襲と旧ソ連軍の樺太占領/米軍占領下の北海道と朝鮮戦争/自衛隊の配置と日米合同軍事演習/恵庭事件/長沼ナイキ基地訴訟と自衛隊違憲判決/矢臼別演習場と平和地主/日米軍事基地・北海道の現在
(2)北方領土問題について |
北海道で学んだことをさらに発展させよう
参考・学習文献一覧
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